子どもの身体と大人の身体の違い

東洋医学的に観ると子どもと大人の身体は、姿かたちだけでなく働き方も違います。

日本の古くからある慣用句で「子どもは風の子」という言葉がありますよね。
そのままの意味で言えば、「子どもは元気で寒風の中でも平気で遊びまわるものである」です。
意味のまま捉えると子どもの元気さを風の概念で表す言葉で終わってしまいますが、
実は子どもの東洋医学的な身体の性質をうまく表現した言葉でもあることが分かるんです。

この事を理解するには、東洋思想の「陰陽」の概念を知っておくことが必要です。
陽というのは、動く・上向き・外向き・発散・明るい・軽いといった概念の総称を表す言葉です。
そして対になる陰というのは、留まる・下向き・内向き・収斂(しゅうれん)・暗い・思いといった概念の総称を表します。

以上のことを念頭に「子どもは風の子」を東洋医学的な意味で解説していきますと。
子ども=風、風というのは、絶えず動き回る性質がありますね。つまり『陽』の性質であるということが分かるわけです。
子どもというのは、風と同じように『陽』の性質を持っているという風に解釈できると言うことです。
子どもの行動を見ていてもそのことについては、不思議ではないですね。「走りまわったり、高い声を出したり、心拍が早かったり、体温が高かった」りするのは、全て『陽』の性質になります。このことが子どもの生理的な反応の現れであるということです。

反対に大人というのは、子どもに比べて、口数も少なく、おとなしく、声が低く、謙虚さ備えています。これは全て『陰』の性質になります。

「陰陽」で分けた時、子どもの身体と大人の身体のエネルギーの方向性は、全く異なることが分かりますね。
これには重大な理由があります。次回の話で子どもの成長のしくみと共にお話ししていきたいと思います。

鍼灸師 力石陽平